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沖縄を旅していると、「〇〇城跡」と書いて「ぐすく」と読む場所に出会います。そのうちいくつかは、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されています。どこが登録されていて、どんな価値が認められたのでしょうか。
この記事では、沖縄県公式ホームページの「沖縄の世界遺産(せかいいさん)」、文化庁の会議資料「世界遺産一覧表記載資産 保全状況報告書(琉球王国のグスク及び関連遺産群)」、そしてユネスコ世界遺産センターの資産ページをもとに、琉球王国のグスク及び関連遺産群を5つのポイントで整理します。後半の、めぐるときの楽しみ方は、この記事の提案です。
※公開時間や見学のルールは、それぞれの施設で変わることがあります。訪れる前に、各施設の公式サイトで確かめてください。
グスクとは
「城」と書いて「グスク」
沖縄県の「沖縄の世界遺産」のページでは、沖縄では「城」という字をあてて「グスク、グシク」と読むと説明されています。
つくられ始めた時期はよくわかっていない
同じページでは、グスクがつくられ始めた時期はよくわかっていないものの、15世紀ごろには建物もできてお城として完成したとされています。
300以上のグスクと関連遺産
ユネスコの資産ページ(英語)では、琉球には300を超えるグスクと関連する資産が残っていて、そのうち5つのグスク、2つの関連する記念物、2つの文化的景観が世界遺産の構成資産になっていると説明されています。
琉球王国のグスク及び関連遺産群の5つのポイント
1. 2000年12月2日に登録
沖縄県のページでは、2000(平成12)年12月2日に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録されたとされています。文化庁の保全状況報告書でも、記載年は2000(平成12)年12月2日です。
2. 構成資産は9つ
沖縄県のページでは、今帰仁城跡、座喜味城跡、勝連城跡、中城城跡、斎場御嶽、玉陵、首里城跡、園比屋武御嶽石門、識名園の9つが紹介されています。
3. 沖縄本島の7市町村にまたがる
文化庁の報告書では、所在地は沖縄県国頭郡今帰仁村、中頭郡読谷村、うるま市、中頭郡北中城村、中頭郡中城村、那覇市、南城市とされています。
4. 評価基準は(ⅱ)(ⅲ)(ⅵ)
文化庁の報告書では、評価基準は(ⅱ)、(ⅲ)、(ⅵ)とされています。資産の種別は文化遺産で、文化的景観の適用が「有」と書かれています。
5. 資産の面積は54.9ha
ユネスコの資産ページでは、構成資産の合計は54.9ha、周りの緩衝地帯は合計559.7haとされています。
5つのポイント早見表
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 登録日 | 2000(平成12)年12月2日 |
| 構成資産 | 9つ |
| 所在地 | 今帰仁村・読谷村・うるま市・北中城村・中城村・那覇市・南城市 |
| 評価基準 | (ⅱ)(ⅲ)(ⅵ) |
| 面積 | 資産54.9ha、緩衝地帯559.7ha |
9つの構成資産
読み方も一緒に覚える
沖縄県のページでは、9つの構成資産に読み方がつけられています。
| 構成資産 | 読み方(沖縄県のページより) |
|---|---|
| 今帰仁城跡 | なきじんじょうあと |
| 座喜味城跡 | ざきみじょうあと |
| 勝連城跡 | かつれんじょうあと |
| 中城城跡 | なかぐすくじょうあと |
| 斎場御嶽 | せいふぁうたき |
| 玉陵 | たまうどぅん |
| 首里城跡 | しゅりじょうあと |
| 園比屋武御嶽石門 | そのひゃんうたきいしもん |
| 識名園 | しきなえん |
5つの城跡と4つの関連遺産
ユネスコの資産ページの英語の説明では、構成資産は5つのグスク(城)、2つの石造の記念物、2つの文化的景観からなるとされています。9つのうち、名前に「城跡」がつくものが5つです。
日本の文化財としての指定
ユネスコの資産ページの日本語の説明では、構成資産には重要文化財2棟、史跡7、特別名勝1が含まれているとされています。
どんな価値が認められた?
交流の中心だった琉球
ユネスコの資産ページ(英語)では、評価基準(ⅱ)について、琉球の島々は数世紀にわたって東南アジア、中国、朝鮮、日本の経済・文化交流の中心であり、そのことが残された記念物にはっきり表れていると説明されています。
独特の文化
評価基準(ⅲ)については、琉球王国の文化が特別な政治・経済の環境の中で発展し、独特の性格を持つようになったと説明されています。
聖地に残る信仰
評価基準(ⅵ)については、琉球の聖地が、自然と祖先への信仰が現代まで残っている例外的な例だと説明されています。
| 評価基準 | ユネスコの説明(この記事での要約) |
|---|---|
| (ⅱ) | 東南アジア・中国・朝鮮・日本との交流の中心 |
| (ⅲ) | 特別な環境の中で育った独特の文化 |
| (ⅵ) | 自然と祖先への信仰が現代まで残る聖地 |
グスクの成り立ち
村を囲む石垣から
ユネスコの資産ページ(英語)では、10〜12世紀に、琉球の農村の共同体が、身を守るために村を簡単な石垣で囲み始めたと説明されています。
按司の登場
12世紀以降は、「按司(aji)」と呼ばれる有力な集団が現れ、自分たちの集落の守りを広げて、一族のための城塞に変えていったとされています。そして、こうした堅固な城を表す言葉として「グスク」が使われるようになったと書かれています。
沖縄県の説明とあわせて読む
沖縄県のページでは、グスクがつくられ始めた時期はよくわかっていないとされています。ユネスコの説明は英語の概要なので、時期については両方の書き方を見比べておくとよいでしょう。
戦争の被害と復元
第二次世界大戦の被害
ユネスコの資産ページ(英語)では、地域全体が第二次世界大戦で大きな被害を受け、多くの構成資産で復元の作業が行われてきたと説明されています。
もとの場所から動かしていない
同じページでは、構成資産はどれも元の場所から移されておらず、発掘調査で見つかった建物の跡は地下に保存されているとされています。また、元の材料と、修復や復元に使った材料を区別できるようにする取り組みが行われていると書かれています。
識名園の復元
識名園は、首里城の正殿と同じような手順で復元され、地下の遺構は丁寧に発掘・記録されたうえで、必要に応じて害のない土や砂の層で覆い、遺構を守っていると説明されています。
構成資産の所有者
国・県・市町村など
ユネスコの資産ページ(英語)では、構成資産の所有者についても説明されています。斎場御嶽と座喜味城跡はそれぞれの所在市町村、首里城跡は国と沖縄県の共有、玉陵は沖縄県と那覇市の共有、園比屋武御嶽石門と識名園は那覇市が所有しているとされています。今帰仁城跡、勝連城跡、中城城跡は、一部を除いて大部分が公有とされています。
| 構成資産 | 所有者(ユネスコの説明より) |
|---|---|
| 斎場御嶽・座喜味城跡 | 所在する市町村 |
| 首里城跡 | 国と沖縄県 |
| 玉陵 | 沖縄県と那覇市 |
| 園比屋武御嶽石門・識名園 | 那覇市 |
| 今帰仁城跡・勝連城跡・中城城跡 | 大部分が公有 |
資料によって時代の書き方が違う
英語の説明は12〜17世紀
ユネスコの資産ページの英語の説明では、この資産群は12〜17世紀の500年にわたる琉球の歴史を表すとされています。
日本語の説明は14世紀後半〜18世紀末
一方、同じページの日本語の説明では、14世紀後半から18世紀末の間の琉球王国の特徴を表す文化遺産群とされています。
どちらも紹介しておく
同じユネスコのページでも、言語によって時代の書き方が異なります。この記事では、どちらが正しいとは判断せず、両方の書き方を紹介しておきます。
守るための取り組み
高さの制限
文化庁の保全状況報告書では、座喜味城跡の周りについて、読谷村の景観計画などで建築物や工作物の高さを12m以内に制限していることが書かれています。
来訪者による影響
勝連城跡では、入場者が増えたことによる石畳表面の摩耗や、石畳道脇の表層土の流亡が挙げられ、仮設階段を設置したと報告されています。
崖の観測
中城城跡では、城郭南側の高さ15mほどの琉球石灰岩の崖に多くの亀裂が見られ、平成25年度から最も大きな亀裂に岩盤動態観測計を設置して観測していると書かれています。
全体の管理計画
ユネスコの資産ページでは、資産全体の包括的な管理計画が、2013年に沖縄県と関係市町村の協力で策定されたと説明されています。
グスクをめぐるときの楽しみ方
ここからは、沖縄県・文化庁・ユネスコの資料をもとにした、この記事の提案です。
読み方を確かめてから行く
「玉陵(たまうどぅん)」や「斎場御嶽(せいふぁうたき)」など、読み方が独特な場所もあります。出かける前に読み方を確かめておくと、案内板の説明も頭に入りやすくなります。
城跡と聖地の違いを意識する
9つの構成資産には、城跡のほかに、御嶽などの聖地や陵墓、庭園も含まれています。城跡は石垣、聖地は静かに参拝する場所、というように、場所ごとの違いを意識して歩いてみましょう。
よくある質問
世界遺産に登録されたのはいつ?
2000(平成12)年12月2日です。
構成資産はいくつ?
今帰仁城跡、座喜味城跡、勝連城跡、中城城跡、斎場御嶽、玉陵、首里城跡、園比屋武御嶽石門、識名園の9つです。
グスクはいつつくられた?
沖縄県のページでは、つくられ始めた時期はよくわかっていないものの、15世紀ごろには建物もできてお城として完成したとされています。
構成資産の面積はどれくらい?
ユネスコの資産ページでは、構成資産の合計が54.9ha、緩衝地帯が合計559.7haとされています。
評価基準とは何?
世界遺産に登録するときに、どんな価値があるかを示す基準です。琉球王国のグスク及び関連遺産群は、文化庁の報告書で(ⅱ)(ⅲ)(ⅵ)の3つとされています。
9つはどこにある?
文化庁の報告書では、今帰仁村、読谷村、うるま市、北中城村、中城村、那覇市、南城市と、沖縄本島の北部から南部にかけての市町村が所在地として挙げられています。
首里城跡も世界遺産?
はい。首里城跡は9つの構成資産の一つです。
琉球王国のグスクは9つの構成資産からなる世界遺産
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、2000(平成12)年12月2日に世界遺産に登録されました。今帰仁城跡や首里城跡などの5つの城跡と、斎場御嶽や玉陵、識名園などを合わせた9つの構成資産からなり、評価基準は(ⅱ)(ⅲ)(ⅵ)です。読み方や場所ごとの違いを確かめてから訪れると、グスクめぐりがより楽しくなりそうです。